三者モデルの「すれ違い」

AI活用、なぜ失敗するのか?
「三者モデル」に潜む
3つの「すれ違い」とその処方箋

「あなた(質問者)」「AI」「パートナー先生」の三者で対話を行う
「三者モデル」は、AIの能力を最大化する理想的な手法の一つです。

しかし、このモデルは強力であると同時に、
人間同士の「コミュニケーションのミスマッチ(すれ違い)」によって
簡単に破綻するリスクをはらんでいます。

AI活用が失敗に至る、代表的な3つの「すれ違い」と、
それを防ぐための処方箋を解説します。


失敗例1:先生の「理解不足」

先生が、質問者の「本当の悩み」を理解しきれない

最も深刻な失敗は、AIを起動する「前」に起こります。先生が質問者の言葉を表面的な「お悩み相談」として処理し、その奥にある「本当の課題」を特定できないケースです。

【処方箋:AI起動前の「深掘り」と「思考の整理」】

「パートナー先生」の最も重要な役割は、AIの通訳である前に、あなたの思考の整理役であることです。

  • 徹底的な傾聴: 先生はまず、あなたの「モヤモヤ」を評価や結論を急がずに全て聞きます。
  • 課題の共通認識: 「つまり、今一番悩んでいるのは〇〇ですね?」とあなたの言葉を整理して返し(パラフレーズ)、課題の認識をすり合わせます。
  • 核心の特定: 「なぜ、そう考えるのですか?」と問いを深め、表面的な悩み(例:売上が低い)の奥にある本質的な課題(例:リピーターが来ない不安)を特定します。

失敗例2:先生の「過信」

先生が、AIの出した答えを「鵜呑み」にしてしまう

第二の失敗は、先生がAIの回答を「正解」として過信し、それを吟味せずにそのまま質問者に横流ししてしまうケースです。AIは一般論や的外れな回答を返すことも多く、これではAIに直接聞くのと何ら変わりません。

【処方箋:先生による「批判的フィルター」と「翻訳・解釈」】

「パートナー先生」は、AIの回答を吟味する「編集者」であり、あなたのビジネスに最適化する「翻訳者」でなければなりません。

  • 批判的フィルター: AIの回答に対し、「これは一般論です」「あなたの場合はこっちが現実的です」と専門知識で吟味し、不要な情報は「捨てる勇気」を持ちます。
  • 解釈と具体化: AIの抽象的な回答を、「AIが言う『ペルソナ設定』とは、あなたのお店の場合、『東大阪市在住の40代主婦』のことですね」と解釈し、「次の一手」に落とし込みます。
  • プロンプトの透明化: 先生は「AIにこう聞いてみますね」と指示内容をあなたに開示し、AIとの「対話のキャッチボール」のプロセスを見せます。

失敗例3:質問者の「遠慮」

質問者が、先生やAIに「遠慮」して本音を言えない

最後の失敗は、質問者側が「先生に悪いから」「AIの言うことだから」と遠慮し、自分の直感的な「違和感」を表明できないケースです。これにより、対話が本質からズレていきます。

【処方箋:質問者による「主体的な意思決定」】

このモデルの主人公(意思決定者)は、あなた自身です。先生とAIは、あなたの決断をサポートする「ナビゲーター」に過ぎません。

  • 「違和感」の表明: AIや先生の意見に対し、「理屈は分かるが、ピンと来ない」という当事者としての直感(違和感)こそが、最も価値のある情報です。それを遠慮なく先生に伝えてください。
  • 主導権を持つ: 「答え」を丸投げするのではなく、「A案でいきたい。このリスクをAIに聞いてほしい」と、あなたが「ハンドル」を握り、先生とAIを使いこなす意識が成功の鍵となります。

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